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2009年10月08日

子宮内膜症

 ひと言でいうと、「月経が子宮の中以外で起こる」ことです。子宮内膜症がいかなる病気かを理解するためには、「月経(生理)」とはどのようなものかを知る必要があります。なぜ生理痛があるのか、また月経はなぜ5~7日間も持続するのか? ――子宮の内側には、生理機能を営む膜「子宮内膜」があります。妊娠すれば、そこに受精卵が着床(もぐり込み)し、脱落膜となり、胎児―胎盤系を形成します。妊娠しなければ、その膜ははげ落ちて、外に出血として出ていきます。これがすなわち、月経(生理)です。
 一人の女性の子宮内膜には生涯を通じて、人間(妊娠)か、腫瘍(しゅよう:子宮内膜ガンかポリープ)のいずれかができる可能性があります。子宮内膜がはげない(月経がない、遅れている)場合は、[1]人間ができたか(妊娠したか)、[2]腫瘍ができたか、あるいは[3]ホルモン異常か、のいずれかの可能性があります。
 そもそも子宮内膜は、2~3日ではげてしまいますが、出血は5~7日も続きます。なぜでしょう。子宮の出口(外子宮口)は、非常に細い管(子宮頸管)となっています。一度に子宮内膜がはげても、子宮口が狭いために、1日目は子宮口を開き、2日目にやっと開いた子宮口から内膜が流出(出血)するために、この日が最も出血が多くなります。3日目から減少して、個人差はありますが、5~7日で出血は終了します。そして、注意すべきことは、はげ落ちた内膜の逃げ道として、下方の子宮口のみでなく、上方の卵管もあるということです。子宮の内腔は3~5mlしかありませんが、はげ落ちた子宮内膜、すなわち月経血量は20~50mlあります。
 1日目に、子宮内腔ははげ落ちた内膜で、内圧が上がります。その圧力で月経血は外へ出ようとしますが、下方は狭くて十分出ることができません。そこで、抵抗の少ない卵管を伝って腹腔(ふくくう)内へと逆流します。したがって、生理中にお腹の中(主に骨盤の中)には子宮内膜を含んだ血液が溜まっています。血液が骨盤内の子宮の後ろに溜まれば、直腸を刺激し、便が出やすくなります。普段、便秘気味の女性は、生理中は便が出やすいのはこのためです。便通が規則正しい方は、むしろ柔らかくなって下痢になる人もいるでしょう。生理中は骨盤腹膜炎の状態になります。それで、お腹、または腰が痛い、あるいはだるくなるのです。
 逆流した月経血の中には、まだ生きた内膜細胞がいます。この内膜細胞は、ダグラス窩(か)、生理中腹膜 (子宮後方と直腸との間)、卵巣、骨盤外腹膜、卵管、腸などの腹腔内のあらゆる所にくっつきます。もし生着してしまうと、そこで内膜細胞は生命活動を開始します。すなわち、子宮の内側にある内膜細胞が、子宮の内腔以外の場所で増えていくことになります。それで、「子宮内膜症」と呼びます。
 異所性に増殖した子宮内膜は、はじめは小さく顕微鏡で見ないとわかりませんが、どんどん増殖し、数カ月、数年経つと、ついには肉眼でもわかるようになります。そして、異所性子宮内膜は本来の子宮内膜(月経)の周期に合わせて、月経(出血)を繰り返します。つまり、月経が子宮以外の所で起こることになります。子宮内と違って、お腹の中の血は逃げ場がありませんから、古くなるとドロドロになって骨盤内の臓器どうしを癒着させます。直腸が他の臓器と癒着すれば、排便痛が出現します。卵管が他の臓器と癒着すれば、不妊症の原因にもなります。  


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2009年10月08日

発生場所

最も多く見られるのは骨盤の中に納まっている臓器で、特に子宮漿膜面(しきゅうしょうまくめん)、卵巣、仙骨子宮靭帯(せんこつしきゅうじんたい)、ダグラス窩(か)(子宮の後側のくぼみ)などに多く発生します。そのような場所では通常の月経のように月経血が排出されないでその場にとどまっています。その状態が長く続くと周辺の組織との癒着(ゆちゃく:炎症などが長期間続いたままだと、普通はくっついていない部位がくっついてしまう)をおこします。   


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2009年10月08日

治療法

大きく分けて薬で治療する方法と手術をする方法の2種類があります。


*薬物療法:
 対症療法(鎮痛薬で痛みをとる)
 ホルモン療法(女性ホルモンの分泌を抑え、病巣を小さくし妊娠率を上げる)
       (GnRHアナログ、ダナゾール)
*手術療法:
 保存的手術
  (腹腔鏡で病巣をレーザーメスや電気メスで焼き切る)
 根治手術(子宮・卵巣を含めて病巣を取り出す)
それぞれの治療法は内膜症の程度や患者さんの状態によって向き・不向きがありますので、患者さんとお医者さんが相談してどの治療法を選択するか決定します。
手術をすすめられたらお医者さんに積極的に質問して、「なぜ手術が必要なのか、どんな手術をするのか、手術後はどうなるのか」など、よく理解して、納得して受けるようにしましょう。
  
タグ :子宮腹部


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2009年10月08日

症状

「月経痛・骨盤痛(月経時以外の下腹部や腰の痛み)・不妊」が子宮内膜症の3大症状です。周辺臓器との癒着(ゆちゃく)が進むと、臓器同士がひきつった不自然な状態になり、臓器の動きも悪くなるので、下腹部痛や性交痛の原因になります。また、不妊と子宮内膜症は統計的に密接な関係があると考えられるものの、その因果関係は明確には分かっていません。  


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2009年10月08日

子宮内膜症とは

子宮内膜やそれに似た組織が、本来あるべき部位(子宮の内側)以外の部位に発生して、増殖する病気です。女性ホルモンの影響を受け月経周期に合わせて増殖や剥離を繰り返し、病状が進むと激しい月経痛がおこります。また不妊との関係も指摘されています。
最近、子宮内膜症が増えてきたと言われています。その理由として、患者さん自身の関心が高まったことや診断技術の進歩により、受診率や発見される件数が増えているためともいわれていますが、晩婚化・少子化・初経年齢の若年化などにより一人の女性の経験する月経回数が増加していることも一因になっていると考えられています。  


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